アルクフクシマ

福島の風景、スナップ

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棕櫚の日曜日



なぜシュロか

震災から1年が経ったころ、不眠に悩まされていた。夜中に何度も目が覚め、夜明け前に目が覚めるとそれから眠れなくなった。それならば、起きて散歩でもしようと考えた。体が疲れれば、そのうち眠りも深くなるだろうと。

散歩は、午前5時ごろに家を出て3時間ほど歩いた。歩き出す方向は、その日の気分次第。午前8時ごろに家に戻って朝食を食べ、会社に出勤するという具合だ。

福島市に住んで約20年になるが、家の近所でも、今まで足を踏み入れたことがない路地も多く、見知らぬ街をさまよっている気分になった。昼休みは会社の周辺を、休日には特に遠くまで足を運んだ。春は自然も変化が早く、毎日が新鮮だった。

いつも首からコンパクトデジカメをぶら下げ、気になるものや風景を撮り歩いた。初めは、特にテーマがあったわけではない。しかし、次第に被写体に共通するものが出てきた。その一つにシュロの木がある。


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シュロは、その姿から南国をイメージさせる。しかし、散歩中に目にするシュロが植えられた家は古びた日本家屋や時代がかったアパートのことが多く、シュロのある風景は、時代から取り残されたようだった。

庭木としてのシュロが流行したのは主に高度経済成長期のようだ。多くの日本人が科学技術の発達による「明るい未来と豊かな生活」を夢見た時代。福島県が原発を誘致し運転を開始した時代でもある。散歩をしながら出会う、手入れもされず放置されたシュロは、そんな時代の夢の名残のように見えた。

野生化したシュロも多く見られた。庭に植えられたシュロの実を鳥が食べ、その糞に含まれた実が発芽したのだ。これらのシュロは、野良猫ならぬ「野良棕櫚」と言うらしい。いつの間にか、シュロを探しながら散歩するようになった。


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自宅のある福島市は、放射能への不安から小さな子供を持つ家庭の県外への避難が続いている。震災から1年以上がたち、一見、落ち着きを取り戻しているかのように見えるが、原発事故によってまき散らされた放射性物質は、いたる所に不安の影を落としている。

健康への影響については、諸説あって分からない部分も多い。しかし、原発事故によって地域や人間関係の分断が進行しているのは間違いのない事実だ。現在の放射線量を怖がる人と気にしない人では、見える世界さえまったく違うだろう。

散歩中、「除染中」の看板がよく目に留まる。作業員がいることもあるが、ロープなどで立ち入りを禁じたままになっている場所も多い。環境放射線を測定するモニタリングポストは、今や福島の風景の一部と化している。除染が始まった地域の住宅の一角では、除去物がブルーシートに覆われ置かれたままで、いつ引き取られるかも分からない。

個人的に除染作業に感じるイメージは、潔癖性の人物が、体に付いた汚れを過剰なまでに気にして、血がにじむまで体をこすっているようなものだ。木がすべて切られ、丸坊主になった庭などを見ると、過剰なものを感じてしまう。もちろん、福島にとって除染は必要なことだろう。しかし、福島の至る所にブルーシートで覆われた巨大な塊が出現することを考えると、悪い冗談のようにも思ってしまう。


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棕櫚の日曜日とは

タイトルの「棕櫚の日曜日」とは、復活祭の1週間前の日曜日のこと。イエスがエルサレムに入城した際、民衆が道にシュロの葉(正確にはナツメヤシ)の枝を敷いて、または手に持って出迎えた記念日だ。その後、キリストは受難を経て復活する。特に宗教的な意味を込めたかった訳ではないが、「シュロ」「晩春」「日曜日」「受難」「復活」というキーワードが結びついた。

展示する写真はすべて真四角の白黒写真。6×6の銀塩中判カメラによる表現をまねてはいるが、すべてコンパクトデジカメによるものだ。「ひとつの時代の終わり」がテーマの一つなので、あえて60年代風の表現とした。プリントの際は、銀塩写真風に見せるために粒子を加えるなどもしている。

リアリズムではなくパーソナルな視点によるという表現手法もある意味60年代的だろう。コンポラ写真風と言えなくもない。しかし、決して”偽装”だけの写真ではないつもりだ。コンパクトデジカメによる撮影は銀塩カメラでは撮れない写真も多い。メカニズムによる部分では、深い被写界深度、広角接写等が挙げられる。地べた目線の広角接写は、中判カメラでは撮れない。

また、フィルム現像の必要がないため、何でも気になったものは手当たり次第に撮れるのも撮影の際の心理に大きく影響している。しかも、真四角写真は横長の写真に比べてフレーミングが楽。写真を撮る際、考えすぎないことは大切なことだ。


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写真展のあいさつ文の下書きもかねて、写真展へ至る動機や内容についてざっと解説してみた。この写真展を見た人たちが、現在の福島をどのように受け止めるかについては、正直いって分からないし怖い部分もある。ただ、わたしは福島で生まれ、これからも家族とともに福島で生きていくことを選択した人間だ。被害者意識ばかりを持ち続けても前に進めない。「復活」する福島をこの場から見届けたいと願っている。

※断りなく加筆・修正する場合があります。

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写真展

DM

写真展が決まりました。

会場:銀座ニコンサロン

開催日時:2013年1月16日(水)~1月29日(火)
     午前10時30分~午後6時30分(会期中無休/最終日は午後3時)

          ☆ ☆ ☆ ☆

ニコンサロンの8月末までの審査に応募していたのだが、先月、使用許可の通知が来た。
審査員は土田ヒロミさん、大島洋さん、伊藤俊治さん、北島敬三さんと、敬愛する作家ばかりで、写真を見ていただいただけでも嬉しいことだ。


東京での写真展は、初めて。
これまで、PRから額装まで、勤務先の会社に頼っていた生物系写真展とは違い、写真展開催までにはいろいろ自分でやらなければならないことも多い。

上の案内はがきの作成もそのひとつだ。
デザインは、橋本はじめさんにお願いした。
とても気に入っている。

タイトル「棕櫚の日曜日」に込めた思いや、写真展の内容についてはまた今度。

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